生体医工学
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心室中隔におけるI 型フィラメントを有する3次元旋回興奮波
川島 圭太郎谷田部 純弥柴田 仁太郎山崎 正俊本荘 晴朗荒船 龍彦
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S111

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抄録

心室頻拍や心室細動の成因は,渦巻き状の興奮波が異常に旋回し続けるスパイラルリエントリ(Spiral Wave Reentry :SWR)である.近年,ヒツジ摘出心の左心房内に内視鏡を挿入し,左心房の活動電位光学シグナルを2台の高速カメラを用いた光学計測法にて,心内膜と心外膜を同時計測した研究が報告されている.その結果,SWRの旋回中心であるI型フィラメントは,心筋壁厚が急激に変わる部位に定在化することが示唆されている. しかし心室においては解剖学的構造が複雑であり,計測シグナルは高い分解能が要求されるため,活動電位光学シグナルの同時計測は十分に行われていない. そこで本研究は,2台の高速カメラを用いて活動電位光学シグナルの同時計測を可能なシステムを開発し, 心室中隔の心筋壁厚が急激に変わる部位とSWRの旋回中心であるI型フィラメントの相互関係を定量的に示す解析手法の確立を目的とした. ウサギ摘出Langendorff灌流心を切り開き,膜電位感受性色素で染色後,開発した灌流型Tissue Bathに設置した.蛍光シグナルを2台の高速度カメラで心室中隔の右室側と左室側の同時計測を行った.計測画像から,解剖学的構造とSWRの旋回中心であるI型フィラメントの相互関係を定量的に示す位相解析手法を考案したので報告する.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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