生体医工学
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抄録
スマートフォンユーザの母指操作特性に関する研究
栗原 修平三田 隆広小山 裕徳川澄 正史
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2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 476

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抄録

近年,スマートフォンなどのタッチパネル操作を必要とする端末の利用が増加している.特に,スマートフォンのような手に収まる端末は,利用者のうち約50%が片手で端末操作を行っていることが報告されている.また,片手操作の約70%が母指での操作であることが報告されている.母指によるスマートフォン操作は複数の指を使用するキーボード操作に比べ,負担が母指に偏る.そのため,片手操作者は母指の屈曲,伸展の繰り返しにより,腱が肥厚し,腱鞘と摩擦が生じることで炎症を起こす腱鞘炎を発症するリスクが高いと考えられる.特に母指側の腱鞘に発症する腱鞘炎はド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)と呼ばれ患者数が増加している.また,過去に腱鞘炎はパソコンの普及に沿って発症患者数が増加したことから,近年のスマートフォンの普及により患者数増加が予測される.腱鞘炎は,健常な生活や仕事の妨げとなるため日常でのスマートフォン操作での母指負荷を検討する必要があると考えられる.母指負荷の検討をするためには基礎的な要件として,タップ操作時やスワイプ操作時の関節角度,操作速度等からスマートフォン操作の特性を検討する必要があると考えられるが,そのような研究はまだ少ないのが現状である.そこで本研究では片手スマートフォン操作時の母指の関節角度,速度,および筋電位等の計測など基礎となるデータを収集および解析から母指操作の特性を明らかにすることを目的とした

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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