生体医工学
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抄録
衝動性眼球運動におけるGo-Cue提示後の陽性の脳波変動と運動の意思決定との関連
福島 裕介船瀬 新王内匠 逸
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2017 年 55Annual 巻 4PM-Abstract 号 p. 350

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抄録

近年,脳波を用いた脳機能の解明が進んでいる.しかし,運動の意思決定に関する脳機能は解明されていない.我々は,運動の意思決定時の脳活動の解明を目標とする.本稿では,運動の対象を眼球運動とし,運動あり・運動なし実験間で後頭頂葉にて観測される脳波変動に着目する. 本稿では運動課題として,Memory-Guided-Saccade-Task (MGST)を被験者に行わせる.被験者をディスプレイ前60[cm]の位置に座らせる.ディスプレイ上に3つの固視点を表示する.中央の固視点と左右の固視点との成す角度は10[°]とする.被験者には指示がない限り中央の固視点を注視させる.MGSTの流れを示す.1)ディスプレイ上の中央の固視点上に右および左の矢印状の視覚刺激を0.2[s]間呈示する.矢印状の視覚刺激呈示と同時に音刺激のTarget-Cueを呈示する.2)矢印刺激消失から2.5~3[s]後に音刺激のGo-Cueを呈示する.3)Go-Cue呈示後,被験者に矢印刺激が示す方向の固視点を注視させる.4)Go-Cue呈示1[s]後,音刺激のReturn-Cueを呈示する.5)Return-Cue呈示後,被験者には中央の固視点を注視させる.実験全体で矢印刺激を左右50回の計100回を無作為に表示する.MGSTで用いる音刺激は1000[Hz]の純音を0.1[s]間呈示する. 本研究の結果より,運動あり・運動なし実験間において右矢印刺激呈示後0.2[s]付近において観測される陽性の最大電位に有意な差を確認できた.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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