生体医工学
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抄録
シミュレーションモデルを用いた局所冷却時の心臓旋回性興奮の挙動解析
瀬野 宏富井 直輝山崎 正俊本荘 晴朗柴田 仁太郎佐久間 一郎
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 293

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抄録

致死性心室性不整脈の原因として心臓内に発生する旋回性の電気的興奮波(Spiral Wave: SW)が知られている.先行研究において,心筋組織の局所を冷却した場合にSWが冷却領域の周辺を移動する事が報告されているが,その詳細な挙動原理は未だに明らかになっていない.一方で近年,定量的で詳細なSW解析手法として,位相分散解析が提案されている.そこで本研究では,局所冷却時のSWの挙動原理を明らかにすることを目的として,コンピュータシミュレーション上での局所冷却実験を行い,位相分散解析を用いてSWの挙動を詳細に解析した.その結果,SWが局所冷却領域の周辺を移動していることが観測され,また局所冷却の位置にかかわらず,SWは冷却領域の境界上を一定方向へ周回することが明らかとなった.冷却によって興奮後面が冷却領域の境界上で遅延し,冷却領域に侵入してくる興奮前面の伝播がブロックされることで,SWが冷却領域の境界上を移動していると考えられる.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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