生体医工学
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抄録
チタンメッシュの組織誘導特性と人工心臓システムへの応用
岡本 英治有村 響子三田村 好矩
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 168

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チタンメッシュは現存する唯一の金属製細胞足場材料で,骨組織のみならず結合組織との親和性が高く,すでにEvaHeartに使用されており,我々は体内―体外間人体通信システムの体内側電極としての応用を研究している.チタンメッシュを人工心臓の部品として使用する場合,一面が塞がれた状態で使用する.そこで,一面が塞がれたチタンメッシュの組織誘導特性を調べたので報告する.方法:用いたチタンメッシュは,線径50μm,平均空隙の大きさ200um,空隙率87%で直径5mm,厚み1.5mmのチタンメッシュで,一面を塞いだこのチタンメッシュをラット皮下に埋込み,4週目と12週目に取り出し,顕微鏡下に観察した.結果:一面が塞がれたチタンメッシュは,最初に結合組織は侵入するが毛細血管が周辺部にしか存在せず,時間の経過とともに結合組織が薄くなる.拡散方程式により酸素拡散距離を計算すると毛細血管を中心に半径約500μmとなった.チタンメッシュを電極として証することを想定し,4MHzで7mAの通信電流を12週間,ラット皮下に埋込んだ一面を塞いだチタンメッシュに印加したが毛細血管分布に変わりはなかった.結論;チタンメッシュの一面を塞ぎ使用する場合,チタンメッシュの厚みに配慮が必要であるが,チタンメッシュは胸腔内に設置する人工心臓や電子機器への応用が期待できる材料である.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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