日本公衆衛生雑誌
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原著
妊娠および授乳後の骨密度の回復に関する縦断研究
米山 京子池田 順子
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2002 年 49 巻 6 号 p. 507-515

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抄録

目的 妊娠,授乳により低下した骨密度の回復について再妊娠,再授乳の場合も含めて縦断的観察により検討する。
方法 妊娠初期に骨密度を測定した妊婦の中から第 1 子または第 2 子を出産した健康な産褥婦28人を対象として,超音波法による骨密度測定を出産後最長 5 年まで半年に 1 回の頻度で追跡し離乳後の骨密度の変化を授乳期間別,再妊娠の有無別に調べた。stiffness を骨密度指標とした。
結果 1. 骨密度は授乳期間が 0-1 か月(G1 群)では変化なしまたは出産後0.5-1 年,2-6 か月(G2 群)では出産後0.5-1.5年,8-12か月(G3 群)では 1 人以外出産後 1-4 年で妊娠初期値まで完全に回復した。平均的には G1-G3 群順に出産後0.5年,1 年,1.5年でそれぞれ妊娠初期値と有意差はみられなくなった。
 2. 離乳後 1 年以上後に再出産した場合,再出産時の骨密度は前回出産時とほぼ同じあるいはそれ以上であり,再授乳後には妊娠初期値よりさらに高くなる場合もみられた。
 3. 離乳後 1 年以内に再出産した場合,再出産時の骨密度は前回出産時まで回復せず,再授乳後にも授乳開始時までの回復はみられなかった。
結論 妊娠,授乳により低下した骨密度は授乳期間に応じて出産後0.5-4 年で妊娠初期値まで回復する。再妊娠,再授乳による骨密度回復への影響は,授乳期間ではなく離乳後次回出産までの間隔であることが示唆された。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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