水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
低水温期のブリの成長, 飼料効率およびタンパク質消化率に及ぼす酵素処理した魚粉の飼料効果
佐藤 公一真田 康広日高 悦久木本 圭輔
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 50 巻 2 号 p. 219-226

詳細
抄録

魚粉 (FM) を酵素処理しタンパク質の加水分解度の異なる8種の試験飼料を作製し, その影響を低水温期のブリの飼育成績やタンパク質消化率 (APD) から検討した。
無処理FM (トリクロル酢酸 (TCA) 可溶性窒素 (N) 量: 15-17%) の対照飼料区の成績を100としたとき, TCA可溶性N量が25-34%の酵素処理FM区の成績は, 日間増重率 (DGR) が103-109, 飼料効率 (FE) が104-115で無処理FM配合区のそれより優れていた。一方, TCA可溶性N量が37-40%の酵素処理FM区では, DGRが90-101, FEが82-95で成績は低下した。APDは, 無処理FMの値を100としたとき, TCA可溶性N率25-34%の酵素処理FMでは104-110, 同率37-40%の酵素処理FMでは87-96で, 飼育成績と良く一致していた。
以上のことから, 魚粉への酵素処理を施すことにより低水温期のブリのタンパク質消化性や飼育成績が向上すること, しかしその処理を過剰にすると逆に成績が低下することが明らかとなった。

著者関連情報
© 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top