1999 年 47 巻 1 号 p. 35-41
アマゴ卵のイワナ精子による受精, ならびにその受精卵の高水温 (受精後8分, 27℃, 23分間) 処理により得られた個体の遺伝的構成を核型分析により調査したところ, これらは各々二倍体および三倍体雑種であることが示された。次に, アマゴあるいはイワナに特有のDNAパターンが得られる5個のプライマーのうち3個のプライマー (A27, A29, A31) を用いて両交雑稚魚の抽出核酸を鋳型にPCRを行った結果, 明瞭な増幅産物泳動像が得られ, 両雑種がアマゴおよびイワナ特有の増幅断片を両方有することを確認できた。従って, RAPD-PCR法は雑種の遺伝的構成の判別に有効であることが示された。