日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
膵管ロストステントによる小腸出血の1例
佐藤 博荒巻 政憲蔀 由貴田邉 三思
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2020 年 40 巻 3 号 p. 503-506

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抄録

症例は75歳,男性。下部胆管癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除を行った。膵空腸吻合は膵管空腸粘膜吻合併用膵実質密着縫合(Blumgart変法)で行い7.5Fr膵管チューブをロストステントにして留置した。術後5日目,7日目,9日目に下血したため内視鏡を行った。ただし膵空腸吻合部への負担を考慮して同部の観察は行わなかった。明らかな出血源は確認できなかったがブラウン吻合部に血腫を認め同部からの出血を疑い術後7日目に内視鏡的クリップ処理,術後9日目に再開腹してブラウン吻合を離開止血確認後に再吻合した。術後11日目に下血,造影CTで膵空腸吻合部からブラウン吻合部まで大量の血腫を認め膵空腸吻合部の出血が疑われた。内視鏡で膵空腸吻合対側空腸粘膜からの動脈性出血が確認されクリップで止血した。出血部位はロストステント先端が接触する部分であり物理的刺激による損傷が原因と考えられた。その後は出血なく経過し初回手術後35日目に退院した。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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