日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
食道癌術後の食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下に修復術を施行した2例
関口 久美子松田 明久松谷 毅萩原 信敏宮下 正夫吉田 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 39 巻 1 号 p. 109-112

詳細
抄録

症例1は74歳,男性。胸部食道癌に対し胸腔鏡下食道亜全摘,開腹胃管再建術(後縦隔経路)を施行した1年11ヵ月後,左側腹部痛を主訴に受診した。画像検査で左胸腔内へ小腸が脱出しており,食道裂孔ヘルニアの診断で腹腔鏡下に小腸を還納し食道裂孔を縫縮した。症例2は79歳,男性。胸部食道癌に対して胸腔鏡下食道亜全摘,腹腔鏡下胃管再建術(後縦隔経路)を施行した2ヵ月後,左胸部痛,呼吸困難,下血を認め受診した。画像検査で左胸腔に横行結腸が脱出しており,腹腔鏡下に結腸を還納し食道裂孔を縫縮したうえで胃管と縫合固定した。食道癌術後の横隔膜ヘルニアは比較的まれな疾患であるが,無症候性でも重篤化の危険があり,手術適応とされる。食道癌術後食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下修復症例は本邦においては8例のみの報告であるが,低侵襲であり術野を確保しやすい腹腔鏡下修復術は,本疾患に有用な術式と考えられる。

著者関連情報
© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top