2003 年 46 巻 5 号 p. 387-392
症例は56歳, 女性. 意識消失にて救急搬送され, 来院時血糖882mg/dl, 血中総ケトン体3795μmolL, 動脈血pH7.265と著明な高血糖とケトアシドーシスを認め, 白血球13000/mm3, CRP 16.4mgdlと炎症所見があり, 感染を契機にケトアシドーシスを発症したと考えられた, 入院後第10病日に撮影したCTにて左大腿の化膿性筋炎と随伴する大腿膿瘍の診断を得た. 入院後より抗生剤治療を開始し, 保存的治療にて治癒した. 温帯地域ではまれな化膿性筋炎が免疫不全患者に発症する例が報告されているが, 糖尿病も危険因子の一つになり得ることから, 糖尿病患者が骨格筋の症状を訴えた場合には本疾患も念頭に置かねばならないことを示唆する興味深い症例と考えられた.