糖尿病
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首都圏糖尿病患者における糖尿病性神経障害の実態調査
田嶼 尚子松島 雅人松岡 健平河盛 隆造岩本 安彦赤沼 安夫
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2003 年 46 巻 4 号 p. 301-310

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抄録

糖尿病性神経障害の実態を明らかにするため, 首都圏215医療機関に質問票調査を依頼し, 140医療機関に通院中の糖尿病患者13, 258名から回答を得た.全質問票のうち70%以上について主治医が記載している86医療機関6.885名 (男性59.8%, 年齢61.9±11.2歳, 罹病期間10.9±9.4年) の調査票を詳細に検討したところ, 5.494名 (79.8%) で末梢体性および自律神経障害にみられる自覚症状を少なくとも1つ以上認めた. 自覚症状の発現率は罹病期間およびHbA1c値と正相関がみられ, 糖尿病との関連が示唆された.
主治医が糖尿病性神経障害による, あるいはその可能性が大きい, と判定した自覚症状を1つ以上認めたものは6.885名中3.538名 (51.4%) であった. 患者が訴えた各自覚症状のうち主治医が糖尿病によると判定したものは, 末梢体性神経障害が60~80%, 自律神経障害が20~45%であったことから, 主治医が「症状は糖尿病による」と判定するとき, 自律神経系の症状はあまり考慮されていないことが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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