1990 年 33 巻 1 号 p. 35-40
抗インスリン自己抗体 (IAA) の意義を明らかにする目的でIDDM患者近親者, 自己免疫甲状腺疾患患者のIAAを測定し, 膵島細胞膜抗体 (ICSA), 抗マイクロゾーム抗体 (McAb), 抗サイログロブリン抗体 (TgAb), 75g-OGTT, HLA, メチマゾール服用歴との関係を調べた.IAAはIDDM患者近親者32名中5名 (16%), バセドウ病患者64名中9名 (14%), 橋本病患者103名中8名 (8%) に認められた.IDDM近親者ではIAAとICSA, McAb, TgAb, 耐糖能障害の有無, HLAとの間に相関を認めなかった.バセドウ病患者ではメチマゾール服用歴を有するものに高率に認められる傾向があった.橋本病患者ではMcAbが25,600倍以上の例で6,400倍以下の例に比べ有意に高率に認められた (x2=6.45, P<0.05).IAAは必ずしも膵島障害を示す指標とはいえず, その意義を明らかにするためにはさらに検討が必要と考えられた.