糖尿病
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腎摘出術が糖尿病コントロールにも著効を示した糖尿病合併腎血管性高血圧症の1例
水野 治
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1988 年 31 巻 10 号 p. 813-819

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抄録

症例は高血圧症 (HT) および糖尿病 (DM) 罹病期間がそれぞれ17年と5年の60歳男性.両者のコントロ-ル困難と全身倦怠感で入院.腹部血管雑音聴取.低Na・低K血症 (118mEq/l・3.0mEq/l), 高レニン血症 (>25ng/ml/hr) あり.連続迅速腎盂撮影, レノグラム, 腹部CT, 大動脈撮影で左無機能腎, 左萎縮腎, 左腎動脈閉塞腎静脈血レニン活性比1.6.腎血管性高血圧症 (RVH) と診断HT, DMのコントロールは困難で血清電解質異常は飲水制限にて幾分改善.左腎摘出術施行.腎動脈狭窄の原因は腎動脈硬化症と推定.手術翌日血漿レニン活性正常化.降圧剤なしで境界高血圧となり, 血清電解質正常化.術前インスリンを要したDMコントロールも食事療法単独で可能となった.RVHに起因する二次性アルドステロン症がDMコントロールを困難にしたと考えた.低Na血症は患側腎でろ過されたNaがすべて再吸収され, 健側腎からより多くのNaが排泄されるという過剰な代償機構が原因と推定した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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