糖尿病
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心拍数変動を用いた糖尿病性自律神経障害の定量的評価 (第5報)
インスリン非依存性糖尿病患者における自律神経障害と低血糖時拮抗ホルモン分泌動態について
及川 登真山 享阿部 隆三佐藤 英幸桜田 幹夫豊田 隆謙後藤 由夫
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1985 年 28 巻 9 号 p. 1073-1079

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抄録

インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者における自律神経障害の有無と低血糖時の拮抗ホルモン分泌動態との関係を検討するため, 健常者7名, 自律神経障害のないNIDDM者7名 (A群), 自律神経障害のあるNIDDM若9名 (B群), にインスリン負荷試験 (0.12U/kg/h) を行った. 健常群とA・B群各群間で最低前乳糖値や血糖蜂下速度には差がなかった. 最低血糖値からの並1糖増加面積は, 健常群, A・B群おのおの2267, 2132,874 mg・min/dlで, B群は健常群, A群より有意に低値であった. インスリン注入停止後の拮抗ホルモンIの分泌増加面積を比較すると, Σ Δ グルカゴンは健常群, A・B群おのおの2210, 2369,762pg・min/mlで, B群は健常群, A群より有意に低反応であった. Σ Δ エピネフリンは健常群 4.95ng・min/ml. A群6.89, B群3.04であり, B群はA群より有意に低値であった. Σ Δ ノルェピネフリンは, 健常群A・B群おのおの3.36, 4.05, 1.83ng・min/mlで, B群は低反応傾向であった. Σ Δ 成長ホルモン, Σ Δ コルチゾールは健常群, A・B群各群間で差がなかった.
以上より, 低血糖時, 自律神経障害のないNIDDM者では健常者と同様の反応を示すが, 自律神経障害のあるNIDDM者では低血糖が遷延し, グルカゴン・カテコールアミン分泌が低反応であった. NIDDM者の厳格な血糖コントロールに際しては, 事前にその自律神経障害の有無を検討する必要がある.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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