糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
高血圧・腎機能低下のない蛋白尿陽性成人発症糖尿病患者の血漿レニン活性ならびにアルドステロン
杉山 博通内村 功小田倉 力前沢 秀憲
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 24 巻 6 号 p. 655-661

詳細
抄録

成人発症糖尿病においても若年発症例と同様なレニン・アンジオテンシン・アルドステロン (RAA) 系活性の低下が存在するか, また腎症に伴う高血圧の特徴を明らかにする目的で, 腎症が存在するのにかかわらず, 血圧および腎機能が正常の患者についてRAA系の動態を検討した.すなわち, 成人発症糖尿病27例 (持続的蛋白尿陽性10例, 陰性17例) および対照15例について, 臥床安静時およびfurosemide (40mg i.v.) +立位負荷後の血漿レニン (PRA), アルドステロン (PA) を測定した.蛋白尿陽性群では, 臥床安静時, 負荷後のPRA, PAはいずれも他の2群より低値であったが, 蛋白尿陰性群は対照群と有意差を示さなかった.蛋白尿陰性群の負荷後PRAは対照群と差はなかったが, PAはより高値であった.以上の成績から, 成人発症糖尿病においても持続性蛋白尿出現時には, 低レニン低アルドステロン状態の出現することが明らかにされた.これは, 高血圧, 腎機能低下のない場合にもみられ, 腎症合併例の特徴的病態と考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top