糖尿病
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症例報告
潜在的な下垂体・副腎皮質機能抑制状態に発症した重篤なアルコール性低血糖の1例
山本 直岡田 洋右西田 啓子松下 幸司新生 忠司田中 良哉
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2012 年 55 巻 9 号 p. 705-709

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抄録

症例は67歳女性.若年時より大酒家で食事も1日1-2食であった.1990年より関節リウマチに対しプレドニゾロンを内服していた.2007年8月,過剰な飲酒後に就寝し,翌朝昏睡状態で発見され当院へ救急搬送された.血糖値8 mg/dlと著明な低血糖を認め(IRI 0.6 μU/ml),グルコース静注により意識は回復し,低血糖昏睡と診断した.以後,断酒と規則正しい食事のみで低血糖発作は認めなかった.絶食試験およびインスリン負荷試験では無自覚性低血糖を認め,迅速ACTH負荷試験ではコルチゾールの分泌は不良であった.以上より,本例は慢性的なアルコール摂取による低栄養とステロイド長期投与による潜在的な下垂体・副腎皮質機能抑制状況下に,無自覚性低血糖を繰り返しており,過剰な飲酒による糖新生抑制を契機として重篤な低血糖をきたしたものと考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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