胆道
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胆嚢胃瘻による胆石イレウスの発症を契機に発見された胆嚢癌の1例
蓮見 桂三鈴木 孝良齊藤 真大谷 泰雄峯 徹哉
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2002 年 16 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

症例は71歳,男性.平成13年7月7日,悪心嘔吐にて当院受診.腹部単純X線写真上,右側腹部に2.5cm大の類円形石灰化像とniveau像を認めた.腹部CTで石灰化像は小腸内に位置し, 口側腸管は著明に拡張していた. 胆嚢は萎縮し内部にはpneumobiliaを認め,それは胃前庭部と交通していた.以上より胆嚢胃瘻を形成後発症した胆石イレウスと診断した. イレウスは保存的治療後, 結石が第3 病日に便中に自然排石され解除した.狭心症内服治療中であり,その時点では外科的治療は選択せず自然閉鎖を期待し,中心静脈栄養にて経過観察したが,約1カ月後の内視鏡的逆行性胆管造影で内胆汁瘻は閉鎖していないことが確認され,胆嚢摘出術,瘻孔閉鎖術を施行した.摘出した胆嚢の病理所見上,胆嚢癌の合併を認めた. 内胆汁瘻は逆行性胆管炎, 胆嚢癌合併などの危険もあるため, 自然閉鎖しない時は積極的に根治術を施行することが望ましいと考えられた.

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