2008 年 22 巻 4 号 p. 500-506
肝切除前肝予備能評価法としてわれわれはICG Krem (ICG消失率 (K値) ×予定残肝の全肝に対する体積比) ≥0.05を用いている. この指標の肝門部胆管癌における有用性と限界を検討した. 当院で経験した肝門部胆管癌肝切除46例を対象として, この指標や既知の基準との合致性, 術後合併症, 在院死亡について検討した. われわれの指標を満たしたのは38例 (82.6%) であった. 合併症発生率は45.7%, 肝不全はなく, 在院死亡は1例 (2.6%) であり, 安全な基準であると考えた. 他の基準の合致は幕内基準54.3%, 兵庫医大予後得点50点以上45.7%のみであり, ICG Krem≥0.05はより手術適応の拡大を可能にする指標でもあると考える. 指標逸脱8例 (17.4%) については, 予定残肝容積 (最低278mL), 切除率 (最高71%), 予定残肝容積体重比 (最低0.54%v/w) および, 胆管閉塞状態を個々に考慮し門脈枝塞栓術後に手術適応を最終決定した.