腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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総説
消化管運動機能障害における腸内フローラ/筋層免疫系の役割:ヒルシュスプルング病モデルラットを例に
尾崎 博堀 正敏堀口 和秀鈴木 敏彦平山 和宏伊藤 喜久治
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2005 年 19 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

以前から,腸管の粘膜炎症と腸内フローラの乱れは密接に関連することが知られてきた.一旦粘膜に炎症が起こり,これが進行して炎症が筋層に及ぶと,腸管の運動機能障害を引き起こす.腸管運動は腸内フローラ維持の最重要な因子であり,ここに乱れが生じると粘膜炎症が悪化し,一つの悪循環の状態をもたらしてしまうことになる.我々は,ヒルシュスプルング病モデルラットにおいて,腸内フローラの乱れに付随して筋層でみられる炎症反応が,筋層間神経叢部分に常在するマクロファージに依存するのではないかとの仮定のもとに実験を行い,これを証明し,さらに本病態モデルでみられる運動機能障害にこれが関わることを見出した.本総説では,腸内フローラと腸管運動機能障害との関係を紹介する.

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© 2005 (公財)日本ビフィズス菌センター
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