日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
Print ISSN : 1881-2503
ISSN-L : 1881-2503
保険調剤薬局薬剤師と病院医師とのネットワークを用いた情報共有が服薬指導に与える効果
秋山 美紀武林 亨平井 愛山
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 9 巻 4 号 p. 504-510

詳細
抄録

医療機関と保険調剤薬局の間で構築された、データ蓄積機能および非同期コミュニケーション機能を有する医療情報ネットワークの利用が、院外処方時の保険調剤薬局での服薬指導に与える効果を検証した。対象は千葉県S地区で、ネットワークを活用した服薬指導の効果測定は、骨粗鬆症の治療中で、ネットワーク参加薬局を利用している患者 (ネットワーク群) 179名とネットワーク非参加薬局を利用している患者118名 (非ネットワーク群) の臨床アウトカム指標、自記式アンケート調査の比較により行った。また、ネットワーク利用が薬剤師の主観に与える効果とその効果がもたらされるプロセスについて検討するため、ネットワーク群の薬剤師21名を対象としたインタビュー調査を行った。その結果、骨吸収マーカー値を臨床アウトカム指標としたネットワーク群と非ネットワーク群の比較では、ネットワークを活用した服薬指導期間が長い患者群ほど骨吸収マーカー値の改善率が大きいことが示された。また、薬剤師インタビュー調査と患者アンケート調査の分析では、薬剤師と医師が患者情報を共有できるネットワークの存在により、薬剤師側、患者側双方が、服薬指導時のコミュニケーション、相互理解、信頼関係が向上していると感じていた。とくに薬剤師においては、地域医療の担い手としての職業的意識の向上や知識習得にネットワークが寄与していることが示唆された。

著者関連情報
© 日本医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top