2018 年 16 巻 2 号 p. 68-76
本研究の目的は、ハロペリドールデカン酸エステル注射液(以下、ハロマンス®)の筋肉内注射に起因する硬結の特徴を明らかにし、硬結に対する看護ケア方法の示唆を得ることである。
事例研究と動物実験を行った。動物実験により事例に観察されたような硬結部を作製することができた。硬結部の筋組織を観察した結果、ハロマンス®は筋肉内で小滴状に分布し、その薬液周辺の炎症反応が長期間持続していることが分かった。この組織変化を皮膚上から触診で触れるのがハロマンス®筋注部位に観察される硬結部と示唆された。また、事例の経過から一度発生した硬結はなかなか消失しないことが明らかになった。したがって、硬結対策には発生を予防することが重要で、そのためには薬液をなるべく細かい小滴状に分散させる看護が必要と考えられた。