日本小児外科学会雑誌
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症例報告
大網充填術を施行した新生児十二指腸穿孔の1例
工藤 裕実富田 紘史吉田 史子中野 美和子
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2021 年 57 巻 4 号 p. 754-758

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抄録

【症例】妊娠分娩経過に異常なく在胎40週で出生した女児.日齢1に突然腹部膨満が出現し,日齢2に腹部膨満の増悪,発熱,呼吸障害を認め当院NICUに搬送された.腹部単純X線写真で腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急開腹手術を施行した.腹腔内は広範囲に汚染しており,十二指腸球部前壁に径5 mmの穿孔を認めた.腹腔内を洗浄後,穿孔部を大網充填術で閉鎖した.術直後からファモチジンを10日間投与し,術後5日目に経口哺乳を開始し,術後14日目に軽快退院した.【考察】新生児における消化管穿孔部位として十二指腸は稀で,手術治療は単純縫合閉鎖および大網被覆が報告されており,予後は他の穿孔部に比べ良好である.成人の消化性潰瘍穿孔においては,安全で必要な運針が少なく,大網の創傷治癒促進効果が得られる大網充填術も有用とされている.新生児十二指腸穿孔に対する大網充填術の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.

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