2015 年 51 巻 7 号 p. 1210-1213
症例は9 歳男児.出生時,総排泄腔外反症を認め,5 生日に膀胱腹壁閉鎖・人工肛門造設術(結腸末端)を施行,生後6 か月にチューブ膀胱瘻造設し管理をしていた.しかし,徐々に結腸の拡大を認め,時に入院管理を必要とする排便障害が持続するようになり手術の方針とした.手術はBianchi 法を応用して拡張結腸を長軸方向に2 分割し,片側の腸管で膀胱拡大術を行い,もう片側の腸管は断端を長軸方向に縫合閉鎖し腸管の狭小化を図り,その末端を人工肛門とした.術後経過は良好である.総排泄腔外反症では結腸が短く,水分吸収などを考慮すると初回手術では腸管は切除せず長く温存すべきである.しかし,拡張した短い結腸は蠕動障害や内容物の停滞,異常な腸内細菌の増殖などの腸管機能障害に繋がることも多い.また,閉鎖した膀胱も禁制を保つまで発達は望めない.今回これらの両方に対応すべく,Bianchi 法を応用して拡張腸管の狭小化と膀胱拡大術を施行し非常に良好な結果を得た.