環境と安全
Online ISSN : 2186-3725
Print ISSN : 1884-4375
ISSN-L : 1884-4375
原著論文
好気高熱性細菌(Bacillus licheniformis MU11株)を用いたバイオディーゼル燃料廃水の処理
山野 浩二渡邉 励人甲斐 穂高山口 雅裕中島 琢自荒木 賢人藥師寺 佑佳有薗 幸司石橋 康弘
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 10 巻 3 号 p. 177-187

詳細
抄録

バイオディーゼル燃料の製造時には、原料油脂の10~20%程度のグリセリン、メタノール、石鹸成分および未変換の脂肪酸などの不純物を含む廃水が発生する。この廃水は活性汚泥法等の生物処理により処理が可能であるが、効率的な処理方法がない。そこで、本研究では、バイオディーゼル燃料廃水の処理を目的として、最適な処理条件について検討した。

バイオディーゼル燃料廃水中には水溶性成分と油分が含有しており、エマルション化している。このエマルションの分解には酸の添加が有効であり、エマルションの分解(エマルションブレイク)により油分が分離され、水層のCODMnの値を減少できることが有効な手法であることを確認した。また、エマルションブレイク後のバイオディーゼル燃料廃水の主な有機汚濁の原因となっている物質はグリセリンとメタノールである。このうちグリセリンは、MU11株(Bacillus licheniformis)で分解できること、また活性汚泥の中にも Bacillus licheniformisが存在していることが示された。さらに、活性汚泥とMU11株を混合したHybrid条件 では、その他の条件と比べてCODMnの減少速度が速いことが示された。

最終的に、Hybrid条件がバイオディーゼル燃料廃水の処理に有効であることが示された。

著者関連情報
© 2019 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top