感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
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原著
混合糞便からの直接PCR による食中毒菌核酸検査に向けた検討
混合糞便直接PCR での食中毒菌検査
西村 直行高岡 直子馬場 洋一林田 瑞穗伊藤 武
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2012 年 86 巻 6 号 p. 741-748

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抄録

 混合糞便検体からの直接PCR で食中毒3 菌種(ベロ毒素産生菌,サルモネラ属菌,赤痢菌)の同時検出を試みた.蒸留水で約2.5%の濃度に調製した検便懸濁液を95℃5 分間熱処理した後の遠心上清5μLを45μL のPCR master mixture に添加してPCR を実施し,MCA(Melting Curve Analysis)で検出した.その結果,50 混合糞便検体に混入させた1 つの食中毒菌陽性糞便を個別培養法と同等の検出感度で検出することができた.本方法は大量の糞便検体から迅速,確実,さらに感度良く腸管系病原菌検出が行える方法であるので,食品取り扱い従事者からの検便検査など一度に大量の検体を処理しなければならない検査においては極めて有用な方法と考えられた.

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© 2012 社団法人 日本感染症学会
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