1997 年 6 巻 9 号 p. 617-620
知覚野を含む孔脳症を有する難治性てんかん症例に対し,propofolを併用した覚醒下開頭手術にて術中皮質電気刺激を行い,知覚野を温存しつつ,てんかん焦点切除術を行った.手術はpropofol持続注入下に開頭を行い,注入中断後に覚醒下で皮質刺激をし,知覚反応の有無を目安に後中心溝より後方の皮質部分切除を行った.術中皮質刺激では,硬膜下電極による刺激に比べ,限局した範囲から知覚運動反応を誘発でき,孔脳症の存在により不明瞭であった知覚運動野の範囲をより正確に同定できた.覚醒下術中皮質刺激は詳細な皮質機能局在の同定を可能にし,今後eloquent area近傍の病巣切除に有用な方法となるものと考えられた.