脳神経外科ジャーナル
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特集 小児脳神経外科
出生前診断された中枢神経系異常例の現状と長期追跡調査
埜中 正博山崎 麻美淺井 昭雄
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2017 年 26 巻 8 号 p. 581-586

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抄録

 出生前診断を行った自験170例のうち, 現在追跡調査が可能である62例と, 人工妊娠中絶に至った18例の合計80例について報告する. 追跡可能例の平均年齢は7.3歳 (0~25歳) で, 疾患内訳は脊髄髄膜瘤23例, 単純性水頭症9例, 胎児脳室内出血後水頭症8例, その他22例であった. 追跡可能例の予後は, 11例で経過中に死亡していた. 生存していた例は疾患により予後が異なっていたが, 発達については, 正常 (DQ/IQ>70) 32例, 中等度11例, 重度5例であった. 出生前診断された症例のうち, 追跡調査可能であった症例の半数近くが正常に近い発達を遂げていた. 一方では死亡例も少なくなく, 疾患によって予後が大きく異なっていた. 出生前診断にはできるだけ正確な診断が必要であると考えられた.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス
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