痛風と核酸代謝
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原著 3
小児科領域の高尿酸血症
久保田 優
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2009 年 33 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

小児科領域における高尿酸血症の系統的解析はきわめて少ない.そこで,本研究では単一施設の小児科の外来および入院患者を対象にして高尿酸血症の実態を検討した.最初に一定の基準で選んだ入院患者をもとに小児の尿酸値の基準値作成を試みた.全328名,6つの年齢群(1歳未満61名,1〜3歳75名,4〜6歳54名,7〜9歳46名,10〜12歳43名,13〜15歳49名)の間の比較で,尿酸値の平均は年齢に伴い有意の上昇傾向が見られた.一方,有意の性差は13〜15歳の群にのみ見られた.各年齢群において平均値の2標準偏差を超える値を高尿酸血症と定義した.高尿酸血症は全検体11,245の内,440検体(3.9%)に見られた.患者の重複を考慮すると総患者数は8,208名となり,そのうち264名(3.2%)が高尿酸血症を呈した.年齢別では,1〜3歳が108名と最も多く,ついで13歳以上45名であった.性別では,10〜12歳を除いて各年齢群とも男児に多い傾向が見られた.疾患別では,最多は胃腸炎で47名(17.8%),ついで呼吸器感染症37名(14.0%),重症心疾患15名.7%),肥満14名(5.3%),腎臓疾患12名(4.5%),気管支喘息発作11名(4.2%)の順であった.これら高尿酸血症を呈する疾患の多くは成人のそれらとほぼ同様であった.しかし,一部小児期に特有の疾患(川崎病,EBウイルス感染症)も見られた.今後これらの疾患が高尿酸血症を来す病態の解析が課題である.

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© 2009 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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