教育心理学研究
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現代大学生の友人関係と自己像・友人像に関する考察
岡田 努
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1995 年 43 巻 4 号 p. 354-363

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抄録

現代の青年に特有と考えられる友人関係のとり方と, 現実自己像, 理想自己像, 親友像及び自己意識特性, 自己評価の関連を検討するため, 大学生に対する質問紙調査を行った。友人関係に関する尺度得点を元にクラスタ分析を行ったところ「群れ関係群」「気遣い関係群」「関係回避群」の3つの群が得られた。
群れ関係群の青年は私的自己意識得点が低く, 自分自身を動的と認知しており, また親友像を基準とした現実自己像把握をしていた。気遣い関係群の青年は, 内省が高く, 現実自己像と理想自己像の相関が高いなど従来の青年期の特徴として記述されてきた特徴が見られた。関係回避群の青年は, 自己像と親友像の関わりが希薄で, 自己と非自己を明確に区別する傾向が強かった。また自己像・親友像の特徴として, 肯定的項目においては, 理想自己像・現実自己像・親友像がそれぞれ別個の枠組みで認知され, 一方否定的項目では現実自己像と親友像の間で類似性が見られた。

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