教育心理学研究
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自己像との関係からみた自我同一性
砂田 良一
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1979 年 27 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

Eriksonの自我同一性という概念を実証的に定義し, それを用いて個体と家族, 市民社会, 国家の間の諸規範ずれが同一性混乱をひきおこすことを示すことが本研究の目的である。
Eriksonの理論の中から, 時間的展望混乱, 自意識過剰, 役割固着, 労働麻痺, 同一性混乱, 両性的混乱, 権威混乱, 価値混乱という8つの部分症候を下位概念とする同一性混乱尺度を構成した。長島他 (1967) からの12 の形容詞対を用い, 「現在の私」, 「家族からみた私」, 「大学生活での周囲の人からみた私」, 「世間の人からみた私」「理想の私」, 「家族から望まれている私」, 「大学生活での周囲の人から望まれている私」, 「世間の人から望まれている私」という8つの自己像のを測定し, 諸自己像のずれを諸規範のずれとした。
自己の規範と家族, 市民社会, 国家の規範の間のずれは同一性混乱をひきおこす1つの原因であることが示された。

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© 日本教育心理学会
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