日本臨床細胞学会雑誌
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原著
乳腺髄様癌の臨床病理細胞学的検討
林 諭史横山 恵石川 文秋山崎 知文立野 正敏小林 博也
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2011 年 50 巻 3 号 p. 163-168

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抄録

目的 : まれな乳腺髄様癌 (medullary carcinoma : MC) の臨床病理細胞学的特徴について明らかにする.
方法 : 当院で経験した typical MC 6 例の臨床像, 組織像, 細胞像を検討した. typical MC の診断は Ridolfi らの診断基準に従った. 非定型的髄様癌は除外した.
成績 : typical MC の乳房温存率は 83.3%であった. 局所再発例, 遠隔転移例は認めなかった. 細胞診上は, 大型で異型の強い細胞が, リンパ形質細胞を背景に重積集塊を形成しており, 組織型の推定は容易であった. 免疫組織化学的検索により, 腫瘍内外に浸潤しているリンパ球の大部分は活性化した CD4 陽性 T 細胞と CD8 陽性 T 細胞であった.
結論 : typical MC は予後良好であり, 治療方針を決定する際, 細胞診で組織型を推定することは有意義であると考えられた.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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