臨床神経学
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症例報告
バルプロ酸単剤使用にて高アンモニア血症性脳症を来した1例
山田 英忠宍戸 丈郎向井 智哉荒木 睦子仲 博満時信 弘
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2019 年 59 巻 5 号 p. 258-263

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抄録

症例は79歳女性.2016年1月,2月に意識消失があり,6月下旬にけいれんを認めてんかんと診断された.バルプロ酸ナトリウム徐放剤 800 mg/日が開始され,3日後より食欲が低下し,6日後から傾眠となった.VPA 128.3 µg/ml,NH3 404 µmol/lと高値を認め,てんかん重積状態と全般性の脳浮腫を来した.持続的血液濾過透析,レボカルニチン投与を行ったが重篤な後遺症が残存した.バルプロ酸ナトリウムは全般てんかんに対して広く使用され,副作用として高アンモニア血症がある.多くは無症候性であるが,単剤でも脳症に至る例があり,高齢患者では適応を十分に判断した上で少量から開始するなど注意が必要である.

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© 2019 日本神経学会
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