臨床神経学
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原著
プロトン磁気共鳴スペクトロスコピーを用いた健忘型軽度認知障害からAlzheimer病への移行者予測
渡辺 俊之椎野 顯彦秋口 一郎
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2015 年 55 巻 10 号 p. 709-715

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抄録

健忘型軽度認知障害(amnestic mild cognitive impairment; aMCI)はAlzheimer病(Alzheimer’s disease; AD)の前段階と考えられているが,aMCIに留まりADに移行しない症例が存在することも知られている.本研究では22名のaMCIにつきproton magnetic resonance spectroscopy(1H-MRS)を用いてN-acetylaspartate(NAA)濃度の絶対値を定量し,ADへの移行者を予測した.その結果,両側海馬のNAA濃度の平均値を指標として,cut-off値を7.6 mmol/lに設定した場合,aMCIからADへの移行者(10名)の検出感度と特異度はいずれも1.0で,ROC(receiver operating curve)曲線下面積は1.0であった.1H-MRS研究では海馬を関心領域とするNAAの絶対値定量がaMCIからADに移行する患者の検出に有用であることが示された.

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© 2015 日本神経学会
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