オレオサイエンス
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特集総説論文
近赤外分光法を用いた脂質研究の動向と将来展望
石川 大太郎
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2022 年 22 巻 6 号 p. 277-285

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抄録

近赤外分光法は,800-2500 nm領域付近のスペクトルを利用した分析方法で,非破壊・非侵襲で,あるがまま丸ごとの物質測定がハイスループットに可能であることから,1970年代以降食品分野を中心に発展してきた。脂質分析に対しても,ケモメトリクスとの組み合わせによる高精度な濃度定量法が提案され,魅力的な装置が世に送り出されている。さらに,脂質酸化や状態異常は生体内では悪性疾患の要因になることから,ごく近年では近赤外イメージングと組み合わせた脂質濃度分布の可視化等の応用が検討されている。本稿では,近赤外分光法の基礎と脂質を対象とした装置開発や定量法に加えて,近赤外イメージングの利用など,近赤外分光分野における脂質研究の動向をレビューする。

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© 2022 公益社団法人 日本油化学会
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