地質学雑誌
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総説
深海掘削による古地磁気・岩石磁気学の最近の進歩
山崎 俊嗣山本 裕二金松 敏也
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2017 年 123 巻 4 号 p. 251-264

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抄録

2003年の統合深海掘削計画開始以降の古地磁気・岩石磁気学の進歩について,堆積物による相対古地磁気強度推定を中心に紹介した.北大西洋の掘削コアから得られた古地磁気強度データは,過去150万年間の高分解能古地磁気強度スタックの確立に結びついた.従来300万年以前の記録はほとんどなかったが,赤道太平洋の掘削コアから始新世〜中新世の相対古地磁気強度記録が得られ,古地磁気強度の年代層序への適用可能年代が拡大した.一方,古環境変動に伴う堆積物の岩相変化,特に生物源・陸源磁性鉱物の割合や堆積速度の変化が,相対古地磁気強度推定に混入する問題が明らかとなった.この解決へ2つの方策を提案した.混入のない古地磁気強度変動記録が得られるようになれば,地磁気強度と逆転間隔の関係や,地磁気変動,地球軌道要素,および気候変動の間のリンケージなど,長年の問題の解決につながると期待される.

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© 2017 日本地質学会
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