心電図
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虚血急性期のT波の増高
三好 俊一郎宮崎 利久森谷 和徳三田村 秀雄金子 章道小川 聡
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キーワード: T波, 虚血, K.ATPチャネル
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2001 年 21 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

局所心筋虚血時の単相性活動電位持続時間 (APD) 変化・心電図上のT波高へのATP感受性Kチャネル (K.ATP) 活性化の関与を心筋内層 (endo) と外層 (epi) において比較検討した.麻酔開胸犬で左冠動脈前下行枝の5分間閉塞を30分間隔で反復.3回目冠閉塞前にK.ATP阻害薬5-hydroxydecanoate (30mg/kg; 5-HD) あるいはグリベンクラミド (0, 15~0.3mg/kg; GLIB) , あるいは, K.ATP開口薬二コランジル (0.25mg/kg; NCR) を前投与し, 2回目の対照冠閉塞時の記録と比較した.対照冠閉塞時, APD短縮はendoに比しepiで優位に大で, 両層間の差は増大した.この差の増大はK.ATP阻害薬の投与により抑制され, 逆に開口薬の投与により増強した.同時に, 対照冠閉塞時にT波高は増大したが, その増高はK.ATP阻害薬の前投与により抑制され, 逆に開口薬により増強した.以上より, 1.虚血早期のAPD短縮にK.ATPの活性化が関与し, 活性化閾値は虚血程度の軽いepiでより低い, 2.K.ATPチャネルの活性化の程度の違いが, 虚血急性期のT波増高に関与している.3.T波増高を指標にすると, KATPチャネル阻害薬内服下の患者の虚血程度を過小評価する可能性が考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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