回路実装学会誌
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金属ベースプリント配線板における銅イオンマイグレーションと誘電特性の関係
岡本 健次前田 賢彦芳賀 弘二
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1997 年 12 巻 6 号 p. 418-424

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抄録

金属べースプリント配線板の層方向に発生する銅イオンマイグレーションの発生プロセスを検討するため, 誘電特性 (絶縁抵抗R, 静電容量C, 誘電正接tanδ) による検出を試みるとともに課電時間ごとの観察を行った。その結果, (1) 当初マイグレーションにより絶縁抵抗Rは低下, 静電容量Cは増加すると考えられたが, 分極現象によりRは増加, Cは低下してしまうという逆の結果となり, 誘電特性からその成長を検出することはできなかった。 (2) 課電試験後に絶縁材料中のイオン分布を分析した結果, Cl, Sが電極近傍に偏在していることが確認され, 分極は解離イオンによるイオン分極が原因であることがわかった。なおイオン分極が顕著な材料ほどマイグレーションが発生しやすいことから, 誘電特性によってその発生, 成長メカニズムを検討するには, イオンの挙動を知ることがポイントと考えられる。

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© 一般社団法人エレクトロニクス実装学会
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