2004 年 7 巻 6 号 p. 525-534
Sn-3.0Ag-0.5Cuはんだ接合部における熱疲労き裂発生寿命をはんだの組織変化によって評価する手法について検討した。SEMによる組織観察の結果, β-Sn相およびAg3Sn相の相成長は, 平均相寸法の4乗で定義される相成長パラメータSによって特徴付けられた。さらに, 相成長パラメータの1サイクル当たりの平均増加量と疲労き裂発生寿命との間には, 累乗則の関係があることも明らかとなった。特に, β-Sn相の相成長パラメータを用いる場合, 組成や熱サイクル条件の違いにかかわらず, 単一の寿命評価曲線が得られた。この関係を用いて, Sn-Ag-Cu系はんだ接合部の熱疲労き裂発生寿命を評価する実用的な手法を提案した。