2009 年 12 巻 2 号 p. 144-153
液晶ディスプレイの大型化に伴い,さまざまな光学的不均一さ“ムラ”が目立ちやすくなってきた。この原因には,材料の不均質さや生産プロセスでの処理条件の変動によるもの,また環境温度や湿度変化によって発生する歪みが考えられる。本研究では,環境変化においても光学特性に変化が生じないような材料設計が重要になることから,光学フィルム内部の水分拡散と膨潤応力解析技術を開発した。はじめに液晶ディスプレイで使用されている光学フィルム単体の吸湿関連の材料物性値を評価した。この材料物性値を用いて,光学フィルム単体の解析精度を検証したところ,吸湿歪みの計算値と測定値は定量的に非常に良い一致を見た。次に偏光板においては,計測された吸湿歪みと計算値には定量的に多少差違が見られたが概ね一致した。最後に液晶ディスプレイの吸湿/乾燥過程における反りを解析したところ,計算結果と実験結果は定性的に良好な一致が見られた。