2015 年 44 巻 4 号 p. 203-207
きわめて稀な腹部大動脈原発平滑筋肉腫を経験した.症例は57歳,男性.2000年9月臍上部に重苦感,圧痛を自覚した.同年10月腹部大動脈瘤切迫破裂疑いにて準緊急手術を施行したが,手術所見では腎下部腹部大動脈腹側より発生する腫瘍を認めた.病理学的検査で平滑筋肉腫と診断され,経過中に局所再発を繰り返したものの,手術のほか,化学療法,粒子線治療を併施する積極的な集学的治療を行い,生命予後のきわめて不良な疾患であるが,診断後約7年半の長期生存を得ることができた.