2005 年 51 巻 p. 89-93
ハリエンジュハベリマキタマバエは,本来,北米に分布する種であるが,近年,日本,韓国,イタリア,チェコなどへの侵入が確認されている。本種は多化性で,ゴールから直接羽化するが,冬期はゴールから成熟幼虫が脱出し,地上で越冬すると考えられる。分布や被害の規模,防除に関してはほとんど研究されていない。日本では,本州,四国,九州で分布が確認されているが,今後,調査がすすめばより多くの地域で確認されることも予想される。また,ゴールの形成されたハリエンジュの小葉が,タマバエの成虫羽化後,まもなく落下することと,蛹の形態において,腹部第2節から第7節の各節背面にある6個の乳頭状突起のうち,最も外側の1対には微毛が存在し,内側の2対の乳頭状突起には,それぞれ,2個の無毛の小孔が存在することを指摘した。