日本乳酸菌学会誌
Online ISSN : 2186-5833
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総説
ヒト腸内細菌叢代謝経路データベース
山田 拓司
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キーワード: pathway, microbiome, database
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2016 年 27 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

ヒト腸内環境研究は、腸内細菌由来の遺伝子配列を用いたメタゲノム解析や、低分子化合物を網羅するメタボローム解析を基盤としたビッグデータ解析の時代となっている。生み出される大量の遺伝子配列データに対して、それらがどのような機能を持つかを類推すること、すなわち、機能アノテーションには KEGG や COG といったリファレンスとなるデータベースを用いる。近年のライフサイエンスにおいてこれらのリファレンスデータベースは欠かすことのできない要素であり、格納されているデータの正確性と、その継続的な更新および新規データ蓄積が、新たに生産される配列データに価値を与える。本総説においては、メタゲノム配列解析、そして遺伝子機能アノテーションのためのデータベース、代謝機能データベースを紹介する。腸内細菌メタゲノムデータは数多くの新規遺伝子を含むため、KEGG や COG などの既存パスウェイデータベース、オーソログデータベースでは対応することができない場合が多い。この問題の解決を目指し、メタゲノム配列由来の新規の配列データに対応するために筆者らのグループが開発したデータベースも併せて紹介する。

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© 2016 日本乳酸菌学会
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