Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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嗅神経系でのガレクチン-1の役割
Brian KeyAdam C. Puche荒田 洋一郎
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1997 年 9 巻 45 号 p. 41-45

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抄録

「におい」は嗅神経系により検出される。1次嗅細胞は鼻腔をおおっている嗅上皮上にある。嗅細胞からでている軸索は、嗅球内の糸球体の別々の部位に収束している。おのおのの糸球体では何千もの1次嗅細胞の終末が、2次嗅細胞の樹状突起とシナプスを形成する。嗅細胞から軸索が伸びて嗅球の特定の部位に導かれるのは、どのような分子メカニズムによるのだろうか。軸索の各集団が表面に特異的な糖鎖を発現して、嗅球の特定の部位に向かって伸びていって終結する。おもしろいことに、鼻と脳の間の嗅伝達系の嗅細胞やグリア細胞はガレクチン-1を発現している。神経突起伸展の in vitro アッセイ系を用いて、我々はガレクチン-1とそのリガンドの両方が、神経突起伸展を特異的に促進できることを見出した。ガレクチン-1を欠失した変異体の嗅覚系を調べると、特定の軸索が嗅球の目的の部位へ到達できないことがわかった。これはガレクチン-1欠失変異体で初めて見出された表現型であり、ガレクチン-1が発生において、嗅覚系の特定の軸索の伸展・誘導に働いていることを示している。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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