ポリシアル酸 (PSA) は、多機能バイオポリマーである。PSAは高等な無脊椎動物や脊椎動物などの真核生物、および、神経侵襲性細菌である Neisseria meningitidis Bのような原核生物など、広い範囲にわたって検出される。哺乳類において、PSAの発現は発生過程により制御され、神経発生、および、細胞の癌化に重要な役割を果たしている。細菌においては、PSAは毒性の原因となる。分光学的手法と免疫学的分析を組み合わせることで、PSAの構造と、その生物学的機能の関連性に対する理解が非常に深まった。天然には存在しないシアル酸類似体を含めた化学的手法の利用は、培養細胞、もしくは、in vivo において、PSA発現の調節を容易にした。非天然型シアル酸の利用が、髄膜炎菌、さらに、癌に対するワクチンの開発につながった。