色材協会誌
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霧化塗装における塗膜形成過程
舘 和幸奥田 匠昭小山 陽一鈴木 正一
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1986 年 59 巻 12 号 p. 711-718

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抄録

エアスプレーガンを用いてクリア塗料を種々の条件でガラス板に噴霧し, ガラス板が塗料で完全に覆われるまでの過程 (塗膜形成過程) を高速度カメラで撮影した。同時に, 撮影部位に塗着する塗粒の径を液浸法で測定した。これらの結果に基づき, ゆず肌の原因となる凹凸の形成機構について考察した。
塗粒は, 被塗装面に塗着するときに変形したが, その後被塗装面を流動して広がることはほとんどなかった。このことから, 塗膜形成過程は, 塗粒が塗着していない被塗装面上, および塗粒が既に塗着している被塗装面上に, 新しい塗粒が到達する確率に支配されると理解される。
塗料の噴霧条件は, 形成される塗膜の凹凸の形状と塗膜形成に要する時間に影響した。形成される塗膜の凹凸の振幅と塗膜形成に要する時間は, ともに塗粒径が増加するのに伴って増加した。これは, 塗着した塗粒の粘度がかなり高く, 塗粒が被塗装面をほとんど流動して広がらないことに起因するものと考えられる。また, 塗膜形成に要する時間は, 単位時間に塗着する塗料の体積が減少するのに伴って増加した。
ゆず肌の原因となる凹凸は, 塗膜形成過程でできることがわかった。

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