日本透析医学会雑誌
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透析患者の便秘症についての実態調査
西原 舞平田 純生和泉 智古久保 拓太田 美由希藤田 みのり山川 智之田中 一彦
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2004 年 37 巻 10 号 p. 1887-1892

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抄録

血液透析 (HD) 患者202名および持続的携行式腹膜透析 (CAPD) 患者33名, 計235名 {男: 147名, 女: 88名, 原疾患: 糖尿病 (DM) 60名, nonDM 175名} に対し, Rome II Modularアンケートを実施し, 腸疾患の判定を行った. 機能性便秘と判定された患者およびそれを除く下剤服用者を便秘患者と定義し, 便秘発症に関わる要因について解析調査した.
アンケートによると全対象患者の54%が何らかの腸疾患を有しており, 腸疾患の割合は機能性便秘19%, 機能性下痢16%, 過敏性腸症候群14%, 機能性腹部膨満5%となった. 機能性便秘19%とそれを除く下剤服用者33%を加えると, 便秘患者は対象患者の52%にのぼった. χ2検定によると便秘の頻度は, 性別では女性, 原疾患ではDM群, 透析方法ではHD群で有意に高かった. 便秘患者の割合と年齢の関係を検討したところ, 加齢により便秘の頻度の著明な上昇が認められた. さらに, 多重ロジスティック回帰分析では便秘発症に関わる要因として加齢, DM, 女性が有意な因子として選択された.
また, 機能性下痢と判定された下剤服用者を便秘患者から除いて同様の検討を行ったところ, DMの有無による便秘の頻度に有意差はみられず, 多重ロジスティック回帰分析においては年齢のみが有意な因子として選択された.

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