下水汚泥堆肥の新規利用法を開発するために堆肥で栽培可能なマッシュルーム (ツクリタケ,Agaricus bisporus) の量産化試験を実施した。その結果,子実体収量は下水汚泥堆肥・牛糞堆肥を用いた試験区では 1,350 ± 230 g / コンテナであり,馬糞堆肥を用いた試験区 (対照区) と同等であった。また,対照区と比較して子実体中の遊離アミノ酸量が 50 ~ 70 % 増加した。さらに子実体中の重金属を定量した。下水汚泥堆肥を用いた試験区では子実体から Cd,T-Hg が検出されたが,農作物に対する基準値や国産栽培きのこ中の重金属含有量等から判断すると,本試験で栽培したマッシュルーム子実体の健康への影響はないものと考えられた。廃菌床は,コマツナの栽培試験に供し,特に下水汚泥堆肥,牛糞堆肥を含むマッシュルーム廃菌床は化学肥料施用区以上の生育がみられ,肥料の一部代替として利用できることがわかった。