2018 年 121 巻 10 号 p. 1266-1272
2007年4月~2016年10月に大阪大学耳鼻咽喉科およびその関連施設でアブミ骨手術を施行された症例のうち, 6カ月以上経過観察でき, 術後骨導閾値を測定され術後気骨導差を確認し得た98症例113耳について聴力成績を検討した. 日本耳科学会判定基準 (2010) による術前骨導を用いた成功率は術後6カ月で90%, 術後2年で93%と良好な成績であった. 術後気骨導差 10dB 以内は術後6カ月で67%であった. 術後気骨導差に影響を及ぼす因子について, ロジスティック回帰分析を行ったところ, 男性, 片側罹患, 術前気導閾値, 手術時間が独立した危険因子であった. アブミ骨底板開窓方法 (stapedotomy/stapedectomy), アブミ骨底板開窓手段 (用手/レーザー), ピストンの種類, 術者による有意差はみられなかった.