1983 年 36 巻 2 号 p. 101-107
潰瘍性大腸炎症例70例の治療経験をもとに,その治療と長期管理の方針について検討を行った.潰瘍性大腸炎は原因不明で,再燃緩解を繰り返す難病であるが,このような疾患を処置していくには,いかにコントロールし易い状態に疾患を治まらせ,緩解後をいかに長期間うまくコントロールし管理していくかというところに治療方針の基本があるのではないかと考えられた.具体的には,1)活動期には医原性増悪因子を少なくし,早く緩解期に導入するためにサラゾピリンとステロイドの併用療法から開始する方がよりよい治療効果が期待できるものと考えられた.2)再燃の約67%が薬剤の中止あるいは減量が関与していたことから,長期管理の方針としてはサラゾピリンによる長期維持の重要性が浮き彫りにされた.3)長期経過観察のための検査法や,診療のあり方などの環境因子も,患者管理の上で重要な要因の一つであることを指摘した.